概要
試験時間50分、大問数6、小問数17であり、例年通りの問題量であった。
大問別講評
大問1 小問集合
6問の構成であった。堀川の小問集合は毎年難問が多いが、今年もそれを踏襲していた。すべてをしっかり解こうとすれば大幅に時間を取られてしまうだろう。しばらく考えても解法の糸口が掴めない場合は諦めて次へ行くことも重要である。近年の傾向として問題文でヒントを与えられ、それを用いて解く問題が多い。既存の知識を組み合わせるのではなく、その場で与えられた公式のようなものをすぐに使いこなす必要があるという点で難しい。ヒントがどう解答につながるのかに着目して解答を進めよう。
大問2 確率
引いた数字によって点の動く数が変化するタイプの問題。正多角形の頂点を移動して三角形の角度を考える問題は色々な学校で出題されるので、似たような問題に出会ったことがある受験生も多かったことだろう。この手の問題では、向かい合う2点を通る場合に直角三角形になることが解法の軸になる。(1)、(2)ともにそれほど難しい知識が必要なわけではないが、時間がない中でミスなく数え上げることが求められる。問題設定から規則を見出し、効率よく数えよう。
大問3 関数
座標平面上で曲線と直線によって作られる図形について考える問題。高校入試数学において最重要の問題であり、今回の問題の設定もよく見かけるものである。一般的な問題と異なるのは、問題文にグラフがないことである。堀川ではグラフが与えられない関数の問題が度々出題されているので、自分で描いてイメージをつかむことを大事にしよう。(1)、(2)は基本的な問題である。他の大問と比較すると随分と易しいため、確実に得点したい。(3)は差のつく問題であった。二つの三角形の面積比は高さの比と同様であり、さらに高さの比はOP:PCの比に等しいことに気がつければ、等積変形を用いて点Dの位置はすぐに決められる。
大問4 平面図形
多角形に関する証明問題。変わった出題と言えるだろう。(1)は学校で公式として習う内容の証明を問う問題。このように当たり前だと思っていることを言語化させる問題は、大学入試でも時々出題される。日常の中にある事象のなぜを問うテーマは、まさしく堀川高校の掲げる探求と言えるだろう。(2)は(1)の内容が大きなヒントになっている。外角の和が360°になることを条件として、いくつまで頂点が増やせるかを考えよう。
大問5 平面図形
求積問題である。一見すると複雑な問題に思われるが、難易度は標準的である。解法は多く存在するが、遠回りな解法では計算が難解になり計算ミスを誘発することになる。より少ない計算で解けるかが勝負の分かれ目となる。本問では、まず六芒星(6つの先端をもつ星型の図形)の面積を求め、円から引いて半分とすることで白い部分の面積の和を計算するのがもっとも近道であろう。本問を解く際には正三角形の面積の導出が必須であるが、堀川高校の受験生ならば当然できていてほしい。
大問6 約束記号
設定自体が珍しく、約束記号の問題というより、整数問題に近い問題であった。(1)から(3)まで通してx+yの値が2通りで一定であることを利用できるかがポイント。(1)、(2)はこれに気づければ解けるが、(3)はx+yが37と137になるy(またはx)の範囲を考える必要がある。この必要性を見落としてしまう人もいると思う。また、問題文の条件にx<yがあり、その条件から答えをいくつか消す必要がある。(3)は方針自体は立つと思うが、条件が多く正解するにはかなりの集中力と注意力を要する。その意味で多くの受験生を苦しめただろう。
対策
堀川数学は、単元ごとに出題の特徴が大まかに決まっている。以下の内容を参考に、単元ごとの対策をしよう。主に小問集合で出題される計算問題では、高校範囲の知識を使わせる問題が度々登場する。なんのヒントもないタイプの問題は非常に難易度が高くなるので、解かなくても良いだろう。一方で、問題文にヒントが書かれていたり、二問構成で一問目の内容がヒントになっていたりする場合はもう一踏ん張りして得点したい。毎年のように出題される「変な形の平面図形」では、頭の柔らかさがある程度求められる。これについては過去問演習を通して慣れていくのがベストだろう。その他の分野についても一捻り、二捻りされている問題が多く、標準的な力があるだけでは太刀打ちできない。したがって、早めの段階で標準的な知識のインプットは完了させ、知識を自由自在に引き出せるようにしておくことが必要だろう。関数分野については、唯一捻りが少ない問題が出題される傾向にある。数学が苦手な受験生はまず関数分野の力をつけることを強くお勧めする。