【京都府高校入試 専門学科 最新入試分析】2023年度 西京高校 数学

2023年09月30日
中学生向け 受験対策/勉強法

概要

試験時間60分、大問数6、小問数20であり、例年通りの問題量であった。来年度も大きな変化はないと考えられる。昨年度は易化した内容であったが、今年度奇問こそはなかったが設定が難しく難易度としても難化した問題が多く、合格者でも得点率が低かったであろう。設定が難しいものは、まずは問題設定をしっかり理解することを意識しよう。また、出題の傾向として、計算、数え上げ方法に工夫を要するものが多かった。もっと簡単な方法がないか考えながら問題を解いておく必要がある。

大問別講評

大問1 小問集合

例年から1問減り、6問の構成であった。問題の解きやすさに差が大きくあり、捨て問を選ぶ力が試された。(1)(2)は計算の工夫に気づき解ければ差がつくものであった。合格に近づくためには最初の問題であっても難しかったら冷静になって飛ばし、解ける問題を確実に解くということが必要となる。解くべき問題は短時間で正確に解けるようにしておくこと。

大問2 関数

座標平面上に作った平行四辺形と最短距離に関する問題である。座標平面上で平行四辺形が出てくる問題はそれほど多くはないが基本的な題材であり、もしそのような解いたことがなかったとしても、解けるぐらいの思考力はつけておくべきである。(3)はよく出題される問題で、他の問題が難しかったことからこの大問を解き切ることが合格に必要であった。

大問3 確率

題材としては基本的なものであり、(1)は簡単である。以降の問も数え上げ解いてもよいが、(2)因数分解に気づけば簡単になる。(3)は言い回しが少し難しいが問題の意図がわかれば素早く数え上げられる問題である。確率の問題は計算の工夫をあれこれ考えるよりも数え上げた方が早い時が多い。その数え上げを順序良くやらずに間違えてしまう受験生が散見されるのは遺憾である。

大問4 平面図形

設定自体が珍しく、戸惑った人が多かっただろう。(1)は「弦に対して中心から垂線を下す」という定石に習ってやれば解ける。(2)(3)は難。(2)は問題の設定通りに図を書いて、線分PDの中点がAとなることに気づくことがポイント。(2)、(3)共通して問題の設定から得られる様々な情報をどれだけ見つけられるかが重要である。長さや角度を求めるときには相似、三平方、円の性質のいずれかを使うのがほとんどであるため、難しい問題に対しては闇雲に考えるのではなく、この3つのうちどれが使えるか考えながら解くと、注目すべき情報に気づくであろう。が、いずれにせよ非常に難しい問題であった。

大問5 空間図形

問題の設定自体は珍しいものだったが、難易度としては普通。(1)は確実に解いておきたい。(2)は三角形が通過してできる立体までは書けるようにしておく必要があるが、体積を出すためには2つの力が必要。1つ目は相似を使うのに気づく力。2つ目は体積を出す際に立体のどこを底面と見るか見極める力。空間図形での直角は常に意識しておく必要がある。どちらの力も立体図形の問題を解くには基礎的で重要となるものであるためしっかり考えられるようにしておこう

 

大問6約束記号

問題の設定自体はよくある問題である。(2)までは問題としてもよくあるため、解けておきたい。(3)は一気に難易度があがり、解けた受験生はほとんどいなかったと思われる。3631個前のペアリング数は何かというように考えていく必要があるが、その先も場合分けや考えるべきことが多く、時間がかかる。このような最後の問だけ難しいものは早い段階で諦めるのがよい。

対策

西京高校を含めた京都の専門学科数学において合格ラインを越えるためには2つの力が必要である。

1つ目は入試頻出のパターンをきちんと覚えて、適切な場面で使う力である。これは今年の入試では特に必要であった。数学的思考の基本は自分の持っている基礎知識を組み合わせることにより難しい問題を解決することである。毎回0から解答をくみ上げることではないことに注意しよう。

2つ目は自分で色々と試行錯誤をして解答にたどり着く力である。今まで見たことがないタイプの問題で、お決まりの解法はなく、有効そうな解き方をいくつか試した後、最適なものを選んで解答に至るという流れを想定して作られた問題が出題される。1回の失敗でめげずに何度かトライする執念が大切である。