総論
試験時間60分、大問数6、小問数20であり、例年通りの問題量であった。来年度も大きな変化はないと考えられる。前年度に比べ少し易化していたが、問5、問6は高難易度であった。数学を得意とする受験生はもちろん、数学が苦手な受験生でも簡単目な問題の正解率を上げることで十分戦える問題構成である。難問に時間を取られないよう、解く問題の取捨選択と時間配分を先に決めておくなど工夫しておくとよい。
大問別講評
大問1 小問集合
例年とは異なり、3問のみの構成であった。3問とも難易度はやさしめであった。 (1)(2)はいずれも簡単な計算問題であったため、計算ミスしないかどうかが得点につながる問題であった。計算を楽に行う工夫や検算を日ごろからしておく必要がある。
(3)は円周角についての基本事項を組み合わせる問題であった。円周角にまつわる知識が十分ついているかを問うている。かならず解けてほしい。
大問2 場合の数
例年通りの難易度である。最大公約数と最小公倍数を用いていることがすこし特殊だが、一般的な解法を採用すればよい。
さいころの問題については、主に二通りのアプローチがある。一つは表や樹形図を用いてすべて書き出す方法、もう一方は余事象などで工夫する方法である。アプローチの選択は場での判断が要求される。普段の学習においてもその訓練をするように。
(1)は全通り書き出すのが順当であろう。(2)は、最小公倍数が素数ということは二つの出目は1と素数の形になるはず、という整数の考え方をすればよい。(3)は(1)と(2)を応用することで解くことができた。
大問3 統計
近年、統計の出題が増えている。年によってはこの問題のように大問ひとつを統計に充てることも予想されるため、十分な対策が必要である。本問は平均についてのみ問われているため、難易度は標準的である。
(1)(2)は平均値の定義さえ知っていれば問題なく解けよう。(3)では、求めたい値が整数値であることを用いるという統計分野では頻出の考え方が必要であった。
当然、今後の統計分野は最頻値、中央値、四分位数や箱ひげ図などが複雑にからんだ問題も出題されよう。この付近の分野は学校等で軽く扱われるため、復習を十分しておくべきである。
大問4 関数
難易度としては例年よりもやさしめである。とくに(1)(2)は、二次関数を習ってすぐでも解けるほど簡単であろう。ここはしっかり得点せねば他の受験生に差をつけられる。(3)は、専門学科の関数分野で頻出である、二つの三角形の面積を等しくさせるような点Pを決定する問題である。このような問題は等積変形を用いるとよい。今回は三角形OCA=三角形OCPとなる点Pの決定であった。点Aを通りOCと平行な直線を用いて解くと、容易に解ける。
大問5 立体図形
立体切断の問題である。難易度は高い。立体図形の知識が総合的に問われている。
(1)では立体切断の考え方、(2)(3)(4)は立体図形における面積や体積を求める問題であった。(1)から苦戦する受験生も多かったであろう。しかし(1)(2)が独立した問題であるので、(1)がわからなくてもあきらめず(2)を解くことで、少しでも点を取れるような問題となっている。
大問6 約束記号
新しいタイプの問題である。まったく考えたこともない概念であるため、困惑した受験生も多かろうと思われる。しかし、約束記号の問題であるため、具体例を計算しつつ規則性をみつけるという鉄則に従えば解くこともできた。
(1)で簡単な例を、それ以降の小問では(1)などから推測した規則性を用いて解く問題である。ちなみにこの約束記号は高校で習うsin,cosというものに対応している。興味があればしらべてみてもよいであろう。
まとめ
桃山高校を含めた京都の専門学科数学において、2つの能力が必要である。
1つ目は入試頻出のパターンを覚え、適切な場面で正確に出力できる能力である。今年はこの能力が必要不可欠であった。受験数学の基本は自分の持っている基礎知識を組み合わせることであり、これを応用することでより難しい問題を解決することができる。
2つ目は自分で色々と試行錯誤をし、推測を通して解答にたどり着く能力である。これは特に難問を解く際に必要とする能力である。今年は問6や問3が必要であった。今まで見たことがないタイプの問題では、有効そうな解き方をいくつか試した後、最適なものを選んで解答に至るという流れを想定して作られた問題が出題される。1回の失敗でめげずに何度かトライする執念が大切である。