
はじめに
中学数学の関数の分野では、変化の割合という用語が登場します。「変化の割合って何?どうやって計算するの?」と問われた時に、みなさんは正しく答えられますか?また、傾きや比例定数との違いも説明できるでしょうか?
変化の割合について理解し、似た用語である傾き、比例定数との違いまで押さえることで、関数分野の問題をスピーディーに解答できるようになります。また、3年生で学習する「
しかし、多くの子がこれらについて曖昧な理解のまま勉強を進めているのではないかと思います。
そこで、この記事では関数分野の変化の割合について解説し、傾きや比例定数との違いについても、直線(一次関数)と曲線(二次関数)にわけて解説していきます。また、二次関数の変化の割合を求める裏ワザについても紹介します。
目次
- 変化の割合とは
- 変化の割合、傾き、比例定数の違い
-
- 直線(
)の場合 - 曲線(
)の場合
- 直線(
- 変化の割合の裏ワザ
変化の割合とは
変化の割合とは、「
式で表現すると、
この式から分かる通り、変化の割合は「
例:
一方で、
最後に変化の割合の式に当てはめると、
となります。
これをグラフで表現するとこのようになります。
このように、
変化の割合、傾き、比例定数の違い
では次に、変化の割合、傾き、比例定数の3つの違いについて見てみましょう。
まずは傾きと比例定数について思い出しておきましょう。
傾き
傾きは1年生で習う比例(
両者に共通するのは式をグラフにしたときにどちらも直線であるということ。傾きは直線に対して使われる用語です。日常生活でも、「あの坂は傾きが急だなー」などと言うと思います。その傾きとおよそ同じです。
傾き=直線がどれくらい傾いているかを表す値
と思っておけばよいでしょう。
傾きがプラスの場合はその直線は右上がりであり、反対に傾きがマイナスの場合はその直線は右下がりであるとわかります。
直線の傾きは、式のある部分を見れば一発で誰でもわかります。それは、
比例定数
比例定数は1年生で習う比例・反比例(
比例定数は
そうした子のために、軽く説明を加えておきます。中学数学において比例定数は「△と⚪︎が△=
さて、それでは変化の割合、傾き、比例定数について、直線(比例、一次関数)と曲線(二次関数)にわけてみてみます。
直線( )の場合
結論から言えば、直線の場合の変化の割合、傾き、比例定数の値はどれも同じです。必ず同じなので、変化の割合をわざわざ計算する必要はありません。学校でもそう習ったのではないでしょうか。
先ほどの例で考えてみると、
同じように、例えば
以上のように、直線においては変化の割合、傾き、比例定数は同じであり、その値は
さらに、ここから言えるもう一つ重要なこととして「
「直線では変化の割合も傾きも比例定数も全部
曲線( )の場合
直線では変化の割合、傾き、比例定数の値は全て同じでしたが、残念ながら二次関数の場合はそうはいきません。一つずつみてみましょう。
まず、変化の割合は決まり通り計算する必要があります。
次に、二次関数には傾きは存在しません。それは中学数学において傾きは直線にのみ使われる用語だからです。
最後に、二次関数における比例定数は
以上のように、二次関数では変化の割合は計算の必要があり、傾きは存在せず、比例定数は
また、二次関数の変化の割合で注意してほしいこととして、「
以上のことを踏まえて、直線と曲線ごとに変化の割合、傾き、比例定数について表にまとめると以下のようになります。
これらの違いに基づく問題は定期テストではよく出ますし、高校入試でも出題されることがあります。しっかりと覚えておきましょう。
変化の割合の裏ワザ
ここまで読んだみなさんは「二次関数の変化の割合をいちいち式通りに計算するのがめんどくさい」と感じているかもしれません。実際に、
そこで、二次関数の変化の割合を一瞬で求めるための裏ワザをご紹介します。
裏ワザ
実に簡単です。比例定数
例:
一瞬で求められました。この裏ワザは
ちなみに、なぜこの裏ワザが成り立つのかについては、変化の割合の式通りに
変化の割合の式通りに考えると、
まとめ
この記事では、変化の割合の基本的な説明から、傾きや比例定数との違い、変化の割合を求める裏ワザまで解説しました。学校でも1、2、3年生のそれぞれで変化の割合について学習しますが、こうして学年横断的に捉え直すと、頭の中が綺麗にまとまり、スッキリするはずです。また、裏ワザを用いることで煩わしい計算も回避できます。
この記事を読んだみなさんが変化の割合への抵抗がなくなり、二次関数が少しでも得意になってくれることを期待しています。