【2025年度入試用】京都府の公立高校の入試制度を徹底解説!前期・中期の違いは?専門学科ってなに?

2024年09月20日
中学生向け 学校/入試情報

はじめに

例年、入試の時期が近づいてくると、京都府の公立高校入試の受験を考えている受験生より入試の仕組みに関する質問が多く飛び出します。

「前期入試と中期入試の違いは何?」

「内申点はどう重要なの?」

「専門学科と普通科はどう違う?」

京都府の公立高校入試の制度は非常に複雑であるため、こうした疑問が湧くのは仕方のないことと言えるでしょう。しかし、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉が示す通り、入試においてもまずはその制度やポイントを掴むことがとても重要です。そこで、本記事では2025年度(令和7年度)の京都府の公立高校入試を受ける中学3年生のみなさんへ向けて、公立高校入試の仕組みを徹底解説します。

※2024年9月18日に京都府教育委員会より「2027年度入試より前期選抜と中期選抜を一本化する」旨の方針が発表されました。本記事は2025年度の入試に関する内容となりますので、2027年度以降の入試には対応していない箇所があります。

京都府の公立高校入試の基本情報

京都府の公立高校入試には、前期選抜、中期選抜、後期選抜の3日程が存在します。しかしながら、3日程があるからといって同じチャンスが3回あるわけではありません。

まずは、前期選抜、中期選抜、後期選抜のそれぞれがどのような制度かを確認し、これらの位置付けを抑えましょう。

前期選抜

前期選抜は京都府公立高校入試の日程のうち、最も早く行われるものです。普通科の他に、一部の高校に設置されている専門学科の入試も前期選抜で行われます。前期選抜では、出願できる学校は1つだけです。

試験日・合格発表日

2025年度の京都府公立高校の前期選抜の試験は2月17日2月18日に実施されます。例年、私立高校の入試が2月10日ごろに行われるので、前期選抜は私立の受験からすぐに行われることとなります。

そして、前期選抜の合格発表日は2月25日です。後述しますが、これは中期選抜の試験よりも前なので、中期選抜の試験を受ける前に前期選抜の合否が分かることになります。

検査内容について

普通科の場合、共通検査を受けることになります。京都府内のどの高校を受験する場合でも同じ検査内容になります。試験会場は各高校です。

前期選抜の普通科入試の時間割、試験科目、試験時間、科目別の配点などの検査内容は以下の表の通りです。

学力検査が国語、数学、英語の3科目である点、集団面接がある点が特徴と言えます。また、学校によっては小論文や活動実績報告書の内容が合否判定に用いられるので、自分が受ける高校がどのような入試科目を採用しているのかはしっかりと確認する必要があります。

2025年2月17日

時間割

試験時間

配点

8:45

集合

9:20~10:10

国語

50分

50

10:30~11:20

数学

50分

50

11:40~12:20

英語(筆記)

40分

50

12:30~12:40

英語(リスニング)

10分

13:30~

集団面接

一方で、同じ前期選抜でも専門学科の場合は上記とかなり異なる点があります。例えば学力検査の科目ごとの配点は普通科ではどの科目も同じでしたが、専門学科入試では学校によって英語と数学の配点が高かったり、社会の配点が低かったりする場合があります。

前期選抜の専門学科入試に関する詳しい情報はこちらの記事を確認してください。

【2025年度入試用】京都府の堀川・嵯峨野・西京・桃山の専門学科入試の違いを徹底解説!配点・入試科目・傾向・倍率をご紹介

定員

普通科の多くの高校では、前期選抜の定員は全体の30%です。すなわち、ある高校の普通科全体の定員が320人の場合であれば、その高校の前期選抜の定員は96人となります。

専門学科については、定員の100%が前期選抜で確保されます。これはつまり、専門学科に入学するためには前期選抜を受験するしかないということです。

中期選抜

中期選抜は前期選抜の次に行われる試験です。中期選抜では第1志望第1順位、第1志望第2順位、第2志望の最大3つの高校に出願することができます。合格者の決定方法がやや複雑なので注意が必要です。(詳しくは後術します。)

試験日・合格発表日

2025年度の京都府公立高校の中期選抜の試験は3月7日に実施されます。前期選抜が2月17日、2月18日であったことを踏まえると、前期選抜終了後からある程度の時間が開くため中期に向けた対策をしっかりと行うことが可能であると言えます。

そして、前期選抜の合格発表日は3月18日です。

検査内容について

普通科の場合は、前期選抜と同様に共通検査を受けることになります。京都府内のどの高校を受験する場合でも同じ検査内容になります。ただし、前期選抜と違って英数国理社の5科目の学力検査を受ける必要があります。また、面接は学校によりある場合とない場合があります。試験会場は各高校です。

2025年3月7日

時間割

試験時間

配点

9:30~10:10

国語

40分

40

10:30~11:10

社会

40分

40

11:30~12:10

数学

40分

40

13:05~13:45

理科

40分

40

14:05~14:35

英語(筆記)

30分

40

14:45~14:55

英語(リスニング)

10分

定員

普通科の多くの高校では、中期選抜の定員は全体の70%です。すなわち、ある高校の普通科全体の定員が320人の場合であれば、その高校の中期選抜の定員は224人となります。

専門学科については、前述の通り中期選抜は行われません。

後期選抜

2025年度の後期選抜は中期選抜の合格発表日より後の、3月25日に行われます。

後期入試は基本的に中期入試までで定員が確保されなかった高校で実施されることがあるという試験であるため、受けられる学校はそれまでの3回の選抜と比べて大きく制限されることとなります。したがって、「前期、中期、後期の3回チャンスがある」という捉え方は相応しくありません。実質的に、自分の志望する高校へチャレンジできるのは前期と中期の2回ということになります。

内申点と学力検査の得点割合

全国的に、多くの公立高校では中学校の内申点と入試当日の学力検査の点数の和で合否判定が行われます。京都府でもこれは例外ではありません。しかし、内申点と学力検査の点数の比重には入試制度ごとにばらつきがあります。ここでは、普通科の前期選抜、専門学科の前期選抜、普通科の中期選抜の3つそれぞれにおける内申点と学力検査の得点割合について見てみましょう。

前期選抜(普通科)

内申点:135 5点×9科目×3学年

学力検査:150 50点×3科目(国・数・英)

その他:学校により変動

前期選抜の普通科では、内申点は3年間の9科目の合計の和が用いられます。学力検査は国語、数学、英語の3科目で実施されます。その他の面接や小論文、活動実績報告書の配点は学校により異なっています。

前期選抜(専門学科)

専門学科入試では内申点と学力検査の得点比率は学校により異なりますが、普通科に比べると学力検査の比率が高い傾向にあります。例えば、堀川、西京、嵯峨野、桃山の専門学科では、内申点と学力検査の比率が1:4程度になっています。

中期選抜

内申点:195 5点×5科目×3学年+5点×4科目×3学年×2

学力検査:200 40点×5科目(国・数・英・理・社)

その他:学校により変動

中学1年生から3年生までの成績が入試に関係してくること、中期入試では副教科の内申点が重視されることを踏まえると、京都府の公立高校への進学を考える場合は1年生のうちから全科目で手を抜かずにしっかり勉強する必要があることがわかります。

合格者の決定方法

前期選抜は出願できる高校が1つだけなので、合格者の決定方法はそれほど難しくありません。普通科であれば内申点と学力検査、面接の結果をもとに合格者が決定されます。また、学校によっては小論文や活動実績報告書の内容も合否判定に利用されます。専門学科入試においても、内申点、学力検査、その他独自試験により合格者が決定されます。

一方で、中期選抜は注意が必要です。かなり複雑な仕組みになっているので、詳しく見ていきましょう。

はじめに、先に述べた通り、中期選抜では第1志望第1順位、第1志望第2順位、第2志望の最大3校に出願できます。ここで注意が必要なのは、3校に出願するからと言って3回の別の試験があるわけではありません。中期選抜では1つの試験の結果をもとに、出願した高校すべての合否判定が行われます。

具体的な流れは以下の通りです。

※前提として、中期選抜では第1志望第1順位、第1志望第2順位、第2志望の3つに出願可能であることを確認しておきましょう。

①各高校において、定員の90%以内を第1志望第1順位で出願した者の中から選抜し合格とする。

②残りの定員について、①で合格にならなかった者で、第1志望第1順位と第1志望第2順位でそれぞれ出願した者を合わせた中から選抜し合格とする。

③①と②で合格者数が定員に満たなかった場合、第2志望で出願した者の中から選抜し合格とする。

 

つまり、①と②で定員が埋まらなかった場合のみに第2志望が機能するので、第2志望を滑り止めとして受験する場合には上の条件に当てはまるのかどうかに注意する必要があります。

どの日程に照準を合わせるべき?

前期選抜で合格した場合、中期選抜は受けられません。このことと前述の情報を踏まえると、以下のような戦略が妥当と言えるでしょう。

普通科志望

  • 前期:チャレンジ
  • 中期
    • 第1志望第1順位:本命
    • 第1志望第2順位:滑り止め
    • 第2志望:あてにしない or 滑り止め
  • 後期:あてにしない

普通科志望の場合、中期選抜の第1志望第1順位で本命の高校に出願し、そこで合格することを主軸にして考えるのがよいでしょう。前期選抜の出願でも中期選抜と同じ高校に出願することになるため、前期選抜が本番と捉えたくなるかもしれませんが、前述の通り前期選抜の普通科試験は定員の30%以下取られないため、中期選抜に比べて倍率が高くなります。したがって、前期選抜は「受かったらラッキー」程度の気持ちで臨み、あくまでも中期選抜が本番というスタンスがよいと言えます。

また、中期選抜第2志望、後期選抜についてはそれまでの選抜で定員に達しない場合の制度であると言えるため、基本的にはあてにしないのが得策でしょう。

専門学科志望

  • 前期:本命
  • 中期
    • 第1志望第1順位:前期に受けた高校の普通科など
    • 第1志望第2順位:滑り止め
    • 第2志望:あてにしない or 滑り止め
  • 後期:あてにしない

専門学科志望の場合は、前期選抜の専門学科入試を主軸にして考えることになります。なぜならば、専門学科は前期のみで定員の100%が確保されるため、専門学科に入学するには前期選抜で合格する以外に方法がないからです。そのため、必然的に中期選抜は本命の専門学科以外を受けることになります。専門学科を前期で受験する多くの受験生は、中期では同じ高校の普通科を受験することが多いです。例えば、嵯峨野高校京都こすもす科を前期で受験した子の多くは中期では嵯峨野高校の普通科に出願する傾向にあります。

おわりに

本記事では、2025年度の京都府公立高校入試の仕組みについて解説しました。中期選抜の実施方法などは複雑な部分が多いので、しっかりと把握した上で対策を進めましょう。

参考