西京高校「コミュニケーション力」検査の歴史
西京高校エンタープライジング科の試験科目の中でも、ひときわ目を引く独自科目「コミュニケーション力」検査。これは、2014年度入試から、京都の公立高校入試においても「各学校独自の科目」を設定することができるようになった際、西京高校エンタープライジング科の独自科目として新しく設定された検査です。
問題の特質上、放送原稿の掲載となっていますが、赤本にも過去問が載っています。ただし、対策の難しさから、模範解答や解説は省略されることが多いようです。
「コミュニケーション力」検査って何?
コミュニケーション力検査は、西京高校エンタープライジング科の当日試験配点600点のうち、50点の配点を占めています。主要5科目の1つである社会の配点も50点ですので、コミュニケーション力の試験も同様に重要な立ち位置を占めていることがわかります。
コミュニケーション力の検査は、一言で言えば「日本語版長文リスニング」です。かなり長めの文章の朗読が2回放送され、放送を聞いている間はメモを取ることができます。そのメモを元に、2つの設問に答えます。1つ目の設問は、朗読された文章の内容を200字程度で要約する問題。もう一つは、筆者の意見を踏まえて自分の意見を300字程度で論述する問題です。
コミュニケーション力の検査は、以下のような3つの力を問うていると考えられます。
①朗読される文章内容を的確にメモする力
②メモをもとに、文章の内容を自分の言葉で再構成する力
③文章の内容を踏まえて、自身の意見を構成し、わかりやすく述べる力
西京高校は「次世代のグローバルリーダー育成」を掲げており、「コミュニケーション力」はその資質として大切だと考えているのではないでしょうか。西京高校の入試が英語リスニングにもかなり力を注いでいるのと同様、日本語であっても言語を扱う能力を測りたいという意図を感じます。
西京エンタープライジング科「コミュニケーション力」の対策法とは
さて、そんな西京エンプラの「コミュニケーション力」に、どのように対策を行っていけばいいのでしょうか。先ほどの3つの力に沿って考えていきましょう。
①朗読される文章内容を的確にメモする力
日本語の音声を聞いてメモを取るという機会は、中学生の皆さんにとってあまりないかもしれません。大切にしてほしい機会は、地域で行われる学習確認プログラムや学校の定期テスト内で行われる日本語リスニングの問題です。内容を思い出すために必要なキーワードや矢印を使って、少ない記述でも内容を再構成できるように考えながらメモを取るようにしましょう。
気を付けてほしいのは、聞いた内容すべてをメモしようと思わないことです。必要な情報は「筆者の意見の中心」と「論の流れ」であり、「具体例」や「筆者の意見の詳しい説明」は要約には必要ありません。メモをするかどうかを判断しながら、ポイントを落とさないことが大切です!
②メモをもとに、文章の内容を自分の言葉で再構成する力
この力をつけるためには、リスニングをしなくても対策を行うことができます。取り組んでほしいことは、文章の要約練習です。近年の出題傾向から、題材とする文章はAIなど次世代の技術に関するものや、新しい考え方に関するものが最適ですが、国語の教科書に載っているものでも大丈夫。文章の中で重要だと思う個所に傍線を引き、その傍線をもとに文章を再構成してみましょう。書いた文章は必ず学校の先生や塾の先生など、ほかの人にチェックしてもらうようにしてください。内容だけでなく、表現が分かりにくくなっていないかなどを確認してもらいましょう。
③文章の内容を踏まえて、自身の意見を構成し、わかりやすく述べる力
②で作った要約をもとに、自分の意見を文章にしてみましょう。気を付けてほしいことは、「課題文の筆者の意見のなぞり」は避けるということ。筆者の意見に賛成だからと言って、筆者の意見と全く同じ内容を繰り返しても、「自分の意見」とは認められません。「筆者の意見に加えて、~~。」や、「筆者の意見の一部には反対で、~~。」などという形で述べるのがおすすめです。
こちらも、ほかの人に書いた文章をチェックしてもらうことはかなり大切です!
リングアカデミーでも、(年に1回ではありますが)コミュニケーション力検査の対策講座を実施します。また、赤本では省略されてしまうことが多い解答例・解説も、独自に作成して提供しています。小論文の対策に不安を感じる場合は、ぜひ活用してくださいね!
コミュニケーション力の対策も怠らず、合否を分ける1点をしっかり取っていきましょう!