総論
例年の問題の傾向
評論文は、科学哲学を題材にしている。使用されている語彙が難しく、丁寧に内容を読み取る必要がある。物語では恋愛等をテーマに、主人公の葛藤といった心情の様子に重きを置いている。物語の問題は、文章の要約要素が強い。
古文の課題文は、内容自体は簡単だが、文章量・記述量が多く、時間不足に悩まされる。
今年の問題の特徴
評論の題目は例年通り科学哲学であったが、使用されている語彙自体は平易である。一方でテーマ自体が難しい。テーマの事前知識等と言った教養が求められる。
物語についてだが、今年は心情の変化も分かりやすく、起承転結も把握しやすい内容であった。一方で、文章の要約要素が強い問題が、心情の機微を把握しなければいけない問題に変化し、より深い読解が求められる。
古文においては会話文を読んで適切な内容を選ぶ問題や、追加で古典文章を読む問題が出題された。問題文自体は簡単だが、処理しなければいけない文字量が跳ね上がったことに注意したい。
大問別講評
大問1:評論
「人らしさとは」を絡めながらもロボットに関する議論を発展させた評論。筆者の感想を多分に含んでおり、内容を完全に理解することは難しい。一方で事前知識があれば読みやすく、記述自体も簡単であった。
大問2:物語
家族の物語。嵯峨野高校にしては珍しい展開の物語。内容は物語らしく、イベント、心情の変化の把握が簡単ではあるが、量が長いので、時間との勝負である。心情の些細な変化の流れを言語化させる問題が多く、思考する必要がある。
大問3:古文
文章の内容は例年通り説話。絵描きの僧に関するエピソードの話。ただし例年と同じペースで読んでいると、問4で時間が足りなくなる。問題の事前把握、会話文から必要な情報を抽出する力が求められる。書く量は多くないが、読まないといけない量が多い。
今年の一問
問題
大問三:(4)
解説
機械的に解くのではなく、【会話文】【古文Ⅱ】という長文を読み、内容を把握する必要がある。この文章処理能力に加えて、会話文に適する形に文章を考える文章作成能力も問われている。
まとめ
難易度自体に大きな変化はないが、例年よりも時間に余裕が無く、効率が問われ始めている。また、問題文に会話文が挿入され、それに対して文章の内容を踏まえて適宜文章を考えるという問題が出てきてる。文章の内容、会話文の流れ、適した形に文章を加工する能力も必要だろう。