【京都府高校入試 専門学科 最新入試分析】2023年度 嵯峨野高校 数学

2023年09月30日
中学生向け 受験対策/勉強法

概要

試験時間50分、大問数5、小問数18であり、例年通りの問題量であった。嵯峨野数学の大問2〜5は毎年小問3つで構成されており、来年度も大きな変化はないと考えられる。全体の難易度も2019~2022までと大きな差はない。問題一つずつを見ても、いわゆる捨て問のような難しすぎる問題はなく、やや簡単な問題からやや難しい問題で構成されていた。とはいえ、全ての問題を時間内に解くのは容易ではないため一定の解答戦略は必要である。昨年度と比較すると大問1は易化しており、ミスなく突破したいところ。

大問別講評

大問1 小問集合

6問の構成であった。全て標準的な難易度であり、解くのが困難な問題はなかった。出題分野も計算、図形、関数、統計と出題頻度の高い分野からの出題であった。特に統計分野に関しては、社会での数値データを扱える人材の需要の高まりに伴って出題頻度が高まっている。対策が薄くなりがちな分野なので、意識して注力しよう。

大問2 確率

高校入試頻出のさいころの出目に関する問題。しかし、一回投げるごとにさいころの目が変化するという変わった設定がつけられている。確率や整数で時々出題されるこうした見慣れない設定の問題では、問題設定をきちんと把握することが何よりも重要である。すぐに解答に取り掛かる前に、落ち着いて目の前の状況の理解に努めよう。今回の問題では、(1)~(3)すべてにおいて条件に当てはまる事象がそれほど多くないことに着目しよう。例えば(1)では、問題設定を踏まえると和が6になる組み合わせは1と5、2と4しかなく数え上げが容易である。(2)、(3)についても問題設定から当てはまる条件を考えて数え上げよう。

大問3 関数

座標平面上で垂線が登場する問題。垂直に交わる2直線の傾きの積は-1になるという性質を用いれば、(1)、(2)は楽に解ける。この知識は中学校では学習しない内容かもしれないが、入試では良く用いるため覚えておきたい。(3)は直線と円弧で囲まれた部分の面積を求める問題。直接面積を求めることはできないので、周辺の図形を加えて面積の求めやすい形を作り、余分な部分を取り除くという手法を使おう。なお、計算には三平方の定理を用いる必要がある。関数分野で登場する機会は少ないが、この問題のように時々出題があるので手段の一つとして頭に入れておこう。

大問4 立体図形

水の入った容器の向きを変えて、水面の高さを考える問題。(2)、(3)では、おおよその状況を自分で図示するのが重要である。(2)では、図示によって容器の水が入った部分は底面が平行四辺形の四角柱になっているのがわかるだろう。あとは(1)で求めた体積から逆算すれば答えが出る。(3)は難問である。考え方は(2)と同様で、底面が台形の四角柱になるが、台形の面積を考える中で上底と高さが同時に変化するのが難しいポイントである。動点問題を考えるときのように高さを文字で置き、相似を用いて上底を文字で表そう。最後に方程式を解けば答えが出る。この問題に限らず、立体図形の問題では自分なりに図を描いてみることが非常に重要である。日頃から頭で考えていることを紙に起こす習慣をつけよう。

大問5 約束記号

近年よく出題されている約束記号の問題である。素数がテーマであるが、桁数や割り算のあまり、平方数と共に頻出なので基本的な知識は最低限押さえておこう。(1)は問題のルールがわかっていれば簡単に解けるだろう。毎年約束記号の最初の小問ではこのようなルールの理解を問う問題が出るため、確実に得点したい。(2)は式の形だけ見ると難しそうであるが、要は2以上40以下の素数について聞かれているだけである。問題の見た目に惑わされないように気をつけよう。(3)も一見すると難しく見えるが、条件を満たすには片方が2、もう一方が5になっていなければならないことを捉えられれば解答はそれほど難しくないだろう。約束記号の問題では、総じて問題文の見た目の複雑さに圧倒されることが多いが、そういう問題こそよく見てみれば簡単である。

対策

近年の嵯峨野数学では、よくある設定に一捻りを加えて難しそうに見せている出題が多い。一見すると解き方の糸口が掴めないが、状況を解きほぐせば後ろに隠れているのは典型的な解法である。したがって、嵯峨野数学攻略には二つの力が必要であると言える。一つ目は、典型問題を確実に得点する力である。これはどの入試においても必要なのだが、特に嵯峨野においては標準レベルの知識を適切に組み合わせられるかが重要になってくるので、入試対策用の問題集や塾のテキストで定着させよう。必要な力の二つ目は、複雑な状況から解答のための規則を見出す力である。これはただ問題を解くだけではできるようにはならない。図形問題であれば自分で図を描くこと、整数や確率であれば色々と実験をして試すことが重要である。日頃の問題演習からこれらのことを意識して実践しよう。